会員の声
20年以上にわたり,国内外の水化学技術向上に大きな役割を果たしてきた水化学研究専門委員会がその活動を終了し,今年6月25日に水化学部会として新たな活動をスタートさせました。
学生時代には水化学と縁がなかった私ですが,会社に入社しすぐに原子力発電所の水化学を担当することとなり,水化学について一から勉強することとなりました。このとき水化学研究専門委員会が編纂した「原子炉水化学ハンドブック」が水化学の教科書として大変役に立ちました。ハンドブックは今でも机の一番手の届きやすい場所においてあり,なにかというとハンドブックで調べ物をしております。
原子炉水化学ハンドブックや,昨年度に作成した「水化学ロードマップ」など,これまで大きな成果を残してきた水化学研究専門委員会ですが,部会に「昇格」したことで,他部門との交流も含めてこれまで以上に活発な議論がなされ,水化学分野のさらなる発展に貢献されることを期待しますし,また私自身も一部会員として積極的に部会活動に取り組みたいと思っております。
(東京電力(株) 宮澤 晃氏)
私は、2年前に水化学標準専門委員会の委員となり、水化学発展の一員として仲間に入り活動させて頂き、委員会が解散する年度末までの間、沢山の情報等を得られ非常に有益なものでした。また、この活動は言うまでもなく発電所のより良い水化学管理を目指したものであり、我々発電所の運営に有効なものとなることと確信しております。
今年度から新たに原子力学会「水化学部会」として、今後の軽水炉で予想される利用の高度化、高経年化への対応および燃料高度化の取り組みを本格化する方向から、水化学分野の一層の高度化・透明性を目指し取り組むこととなり、水化学部会の運営組織および活動方針が6月の総会にて決定された。
夫々の小委員会活動により、水化学活動の透明性は得られるものであるが、反面組織が膨らむことにより形だけのものに終わってしまう懸念もあり、事業者の立場からは従来の水化学の委員会活動と同様に、発電所の運営において懸念される材料との相互作用、被ばく・廃棄物発生抑制、標準化、人材育成と技術伝承等々の課題を着実に検討することで、発電所の安定運転に寄与する活動として、水化学部会に大きく期待している。
私も少なかれ本活動に参画させて頂き、水化学の発展に貢献できるよう頑張っていきたいと思っておりますので、皆様方のご指導をお願い致します。
(関西電力(株) 塚本 雅昭氏)
水化学部会の立ち上げにご尽力いただきました方々にお礼を申し上げます。
また、部会参加させていただきますことを光栄に思います。
原子力ルネサンスと言われ、原子力に関する社会的関心と注目を集めつつある昨今、水化学分野においても、社会的に認知される技術文化を確立することが本部会における一つの使命と思います。
一方では、水化学は定量的な解釈および証明が極めて難しい技術分野であり、専門外の方々に認知される技術として成熟するためには多くの課題があるものと考えます。
知恵を出し合い、時間と労力を惜しまず繰り返えし議論することにより、道は開かれるものと思います。
(日立GEニュークリア・エナジー(株) 会沢 元浩氏)
水化学部会のスタートにあたり、下記の議論を通じて実り多き部会にしていきたいと思います。
①水化学の今後10年、20年先のあり方、研究の方向性:プラントの経年化が進み、ますます水化学の重要性が増してくると思われます。多分野(燃料、材料関係)との交流も深めて、水化学の今後のあり方、研究の方向性を持続的に議論していきたい。
②技術・知識の維持、人材の育成:原子力の商業発電が始まって40年近く経ちました。現場で活躍された方が退職され、これまで培われた技術、知識が失われることが懸念されます。水化学標準化や、本部会を通して、技術、知識を継承し、産学連携して人材の育成と技術の継承を図りたい。
③公平・公正性の確保:オープンな場で議論し、多くの方の意見を反映して成果を作り上げていきたい。
(日立・電開研 石田 一成氏)
自分が「水化学」という言葉に初めて出会ったのは、平成14年の第17回「水化学最適化」研究専門委員会に参加した時でした。それまで全く馴染みのない学問分野だったため、最初は原子炉の水に関する化学について研究する分野だろうという、文字通りの事が推測できたぐらいでした。研究の目的を設定するための価値観を把握する事が出来ず、しばらくは何となく落ち着きの悪かった覚えがあります。
そんな時に職場の先輩から、内田部会長が講師をされていた東北大学インターネットスクールの“エネルギー化学工学特論”の受講を勧められました。その講義を受講したお陰で、ようやく、「水化学」の目的は原子力発電プラントにおける 1) 線量率の低減、 2) 構造材・燃料の健全性確保、 3) 廃棄物の発生抑制であり、そのために「原子力発電プラントでの冷却“水”の主として“化学”的な挙動について研究する」という事をはっきり認識できる様になりました。
一個人として私に出来る事は高が知れていますが、それでも今後、本部会に関する活動を通じて少しでも社会へ貢献できればと思っています。
(JAEA 中原 由紀夫氏)
今回専門委員会から部会に昇格したため、今までの専門委員会より組織が大きくなった。組織の大きい部会となったが、今までの小回りのきいた専門委員会と同程度の定例会が行われることを期待したい。また、部会に昇格したことから、他部会との交流を図っていくとのことであるが、是非期待したい。
(三菱重工(株) 西村 孝夫氏)
水化学部会の発足おめでとうございます。発足にあたりご尽力いただきました方々や、水化学標準委員会の時より、委員会の運営及び委員会において活発な議論に参加された方々には深く御礼申し上げます。
水化学部会となることは、その学問的意義やこれまでの活動内容が認められたということと共に、今後、更なる発展を期待するということであると思います。
部会になると大きな組織となりますが、同じ化学部門に携わる者同士が、部会長の内田先生を中心として業種や世代の垣根を越えて議論できる雰囲気を作っていっていただきたいと思います。私は、これが最終的には部会の発展、日本の原子力発電における化学技術の発展につながると信じております。私も部会の一員として貢献していきたいと思います。今後とも宜しくお願いします。
(日本原子力発電(株) 大平 拓氏)