第3回定例研究会

2008.3.5 (株)東芝 東芝研修センター
「被ばく線源低減」

1 BWRプラントにおける被ばく線量低減への取り組み 宮澤 晃(東京電力)
2 PWRプラントにおける被ばく線量低減への取り組み 松浦 正利(関西電力)
3 被ばく低減に関する国の取り組み 大嶋 巌(原子力安全・保安院)
4 化学除染後の再汚染抑制技術の開発状況 長瀬 誠(日立GEニュークリア・エナジー)
5 高経年化BWRプラントの被ばく線源低減技術 四柳 端(東芝)
6 溶存水素濃度最適化等のPWR被ばく低減技術の動向について 梅原 隆司(三菱重工)

国際活動報告
1 アジア水化学シンポジウム(台湾/H19.9.26-28) 瀧口 英樹(日本原子力発電) 岡村 雅人(東芝)
講演概要:本シンポジウムは水化学技術者・研究者の情報交換と経験の共有並びに人的ネットワーク構築を通じてのアジア地域における原子力発電の安全性向上と定着を目的に隔年で開催されている。今回(第3回)は台湾電力の主催により台北市で2007年9月27~28日に開催された。参加者数は84名(日本24名,韓国5名,台湾55名)で,発表件数は30件であった。基調講演では,日本から,国内原子力発電所の状況を報告すると共に,PWRとBWRに共通の水化学制御の提案があった。さらに,高経年化・燃料高度化・出力向上における水化学の技術課題と役割の重要性,及びその効果の定量化が必要との指摘があった。台湾からは「水化学最適化」の取り組みが紹介された。その内容はEPRIの水化学管理指針に準じたものであった。一般発表では,PWR関連が17件,BWR関連が10件であった。PWR一次系関連では,亜鉛注入実機適用実績,クラッドの熱力学と燃料表面サブクールについて3件(いずれも日本)の発表があった。PWR二次系関連では,SG伝熱管二次側腐食損傷・SG水位振動について5件,FACについて4件,浄化技術について1件,タービンでのEarly Condensationについて1件の発表があった。BWR関連では,被ばく低減について3件,予防保全について5件,その他2件の発表があった。次回は,2009年に日本原子力学会水化学部会が主催し名古屋(ホスト中部電力殿)にて開催することとなった。

2 IAEA燃料/水相互作用RCM(FUWAC) 内田 俊介(JAEA)
講演概要:IAEAプロジェクト「高燃焼度及びプラント経年化時の燃料挙動の信頼性確保を目指した最適水化学制御」(Optimization of Water Chemistry Technologies and Management to ensure Reliable Fuel Performance at High Burn-up and in Ageing Plant)の第2回RCM(Research Coordinated Meeting)が,2007年12月11-14日にインドのチェンナイにおいて開催され,日本から内田部会長が出席した。IAEAにおいては,燃料被覆管と水化学相互作用をテーマとして1981年に最初の水化学関連プロジェクト(CCI: Investigation of Fuel Cladding Interaction with Water Coolant in Power Reactor)が開始されてから,原子炉水化学のマニュアル作成(WACOLIN)と水化学モニタリングと制御(WACOL 及び DAWAC)のプロジェクトに引き継がれ,再び燃料と冷却水の相互作用について高燃焼度化と高経年化に対応した議論をすることとなった。今回のRCM参加者は23名(IAEA,ブルガリア,カナダ,チェコ,フィンランド,フランス,ハンガリー,インド,韓国,日本,ルーマニア,スウェーデン,ロシア,ウクライナ,中国,米国)であった。主な検討課題は,AOAへの影響因子(高負荷燃料,長期運転サイクル,運転条件,Li濃度,LiとKの差異),被覆管の腐食(新合金,Li限界値),線量率低減である。これらの課題について参加各国からプラントの経験と基礎実験・理論が提供された。特に,AOAは各国で発現の状況とプラント運転への影響が異なるようであり,AOAを支配するパラメータの同定に注力する必要がある。次回は2009年6月にフィンランドで開催される予定。