寺地氏の受賞のコメント

株式会社原子力安全システム研究所
技術システム研究所
高経年化研究センター 材料グループ
寺地 巧

「水化学国際会議2008ポスター賞」を受賞して

私が頂いた賞は“Poster presentation and design”というカテゴリーであった。英語が得意では無いため受賞の連絡を受けたときは驚いたが、受賞者というよりポスターが評価されるカテゴリーのようで、なんとなく納得できた。とはいえ、私にとって国際会議の場でこのような賞をいただけることは大変光栄なことで、副賞として頂いたワインは記念品として飲まずに保管してある。
さて、ポスターの内容は、PWR1 次系環境下におけるSUS316 と600 合金の材料表面および粒界における腐食挙動について検討した結果である。SUS316 より600 合金の方が耐食性に優れるが、顕著な粒界部の酸化は600 合金のみで生じることを示し、その理由を両合金の耐食機構の違いにあると考察したものである。これらの腐食挙動は応力腐食割れの発生・進展に影響すると考えられ、現在もその詳細を継続検討している。
私が所属する原子力安全システム研究所は、原子力発電の安全性および信頼性の一層の向上のために関西電力(株)により設立された会社で、技術的な視点からだけでなく、社会的な視点からの研究も行っている。安全に関する重要な役割を担っているとの高い志を持ち、材料に関する基礎的な研究に地道に取り組んでいるため、このような形で評価されることは研究の励みになり、本当にいい機会であったと感じている。
最後に、受賞を紹介させていただく場を提供いただいた水化学委員会の部会長ならびに幹事の皆様に感謝したい。