6.2 燃料の高信頼化

_2011年3月に発生した1F事故の教訓を踏まえ、研究開発ロードマップの策定の際には、深層防護の考え方に基づき、異常・故障の発生防止と事故への拡大防止、事故の影響緩和、設計基準を超す事故への施設内対策等、外部環境への影響を考慮したレベルに応じ、原子力発電所の安全性向上に向けた技術を開発していくこととなった。
_2018年現在、PWRを中心に再稼働が進んできたが、核燃料分野においては、1F事故を契機に、FP放出低減/温度上昇抑制ペレットの開発と通常時材料劣化低減被覆管の開発が加速されるとともに、事故時(LOCA、Post-DNB)高温酸化劣化抑制部材(被覆管/集合体)や事故耐性燃料(Accident Tolerant Fuel、以下ATF)の開発と実機への早期導入が求められるようになった。
_新たな水化学技術を導入する際には、現行燃料の被覆管や部材の腐食対策及び水素吸収特性に及ぼす水化学の影響の有無を事前に評価しておく必要がある。さらに、上記の改良型燃料の導入に際しては、被覆管や部材の材質変更に及ぼす水化学の影響を事前に評価しておく必要がある。加えて、被覆管表面へのクラッド付着に起因するCIPS(Crud Induced Power Shift)あるいはAOA(Axial Offset Anomalies)、以下、CIPSと表記)に対しても、現行及び改良型の燃料被覆管を対象に、水化学の影響の有無を事前に評価しておく必要がある。
_本節では、核燃料に対する水化学の影響が比較的大きいと考えられる被覆管・部材の腐食/水素吸収対策及び燃料性能維持(CIPS対策)を取り上げる。