寺地氏の受賞のコメント

株式会社原子力安全システム研究所
技術システム研究所
高経年化研究センター 材料グループ
寺地 巧

「水化学国際会議2008ポスター賞」を受賞して

私が頂いた賞は“Poster presentation and design”というカテゴリーであった。英語が得意では無いため受賞の連絡を受けたときは驚いたが、受賞者というよりポスターが評価されるカテゴリーのようで、なんとなく納得できた。とはいえ、私にとって国際会議の場でこのような賞をいただけることは大変光栄なことで、副賞として頂いたワインは記念品として飲まずに保管してある。
さて、ポスターの内容は、PWR1 次系環境下におけるSUS316 と600 合金の材料表面および粒界における腐食挙動について検討した結果である。SUS316 より600 合金の方が耐食性に優れるが、顕著な粒界部の酸化は600 合金のみで生じることを示し、その理由を両合金の耐食機構の違いにあると考察したものである。これらの腐食挙動は応力腐食割れの発生・進展に影響すると考えられ、現在もその詳細を継続検討している。
私が所属する原子力安全システム研究所は、原子力発電の安全性および信頼性の一層の向上のために関西電力(株)により設立された会社で、技術的な視点からだけでなく、社会的な視点からの研究も行っている。安全に関する重要な役割を担っているとの高い志を持ち、材料に関する基礎的な研究に地道に取り組んでいるため、このような形で評価されることは研究の励みになり、本当にいい機会であったと感じている。
最後に、受賞を紹介させていただく場を提供いただいた水化学委員会の部会長ならびに幹事の皆様に感謝したい。

河村氏の受賞のコメント

(財)電力中央研究所
材料科学研究所
原子力材料領域
河村 浩孝

「水化学国際会議2008ポスター賞」を受賞して

2008年9月14(日)~18日(金)に、ドイツBerlin市のMaritimホテルで開催された” International Conference on Water Chemistry of Nuclear Reactor Systems, 別称NPC’08”において、”Poster Award”を頂いた。何やら、最優秀ポスター賞で、“Technical Content of the Poster”、”Author’s Presentation and Explanations”及び”Poster Presentation & Design”の3部門の総合優勝とのことであった。
今回、私の発表は口頭発表の枠からはずれ、正直、モチベーションが下がっていた。でもせっかくの機会なのでと開き直り、「内容に乏しい分、第一印象が勝負」と考え、デザインと読み易さ重視の発表ポスターを持ち込んだ。会場では、思いがけなく多くの参加者に関心を持って頂き、質問や問い合わせを多数受け、セッションは充実したものとなった。ポスター賞があることは判っていたが、3つのカテゴリーがあることも知らず、「デザインで点数をくれる審査員がいるかな」ぐらいにしか思っておらず、受賞は全くの想定外であった。バンケットで最後に名前を呼ばれたときには口に含んだビールを吹き出しそうになるくらい驚いた。授賞式で、石槫顕吉東大名誉教授から、「すごいぞ。3部門の総合優勝だよ。」と声をかけられたとき、膝が震えた。翌日、一部の審査員から選考過程の詳細を伺い、多数の審査員に支持され、投票頂いたことを知り、改めて身の引き締まる思いであった。
水化学研究に従事している一研究者として、関連の大きな国際会議で受賞できたことは、大変名誉なことであり、今後の研究活動の励みとなる。なお、副賞のワインは、自宅で就寝中である。
ポスターの内容は、PWR燃料被覆管表面へのクラッド付着現象を非照射下のラボで再現するとともに、付着因子として想定される熱水力因子と水化学因子をパラメータとし、各因子の寄与度合いを検討した結果をまとめたものである。想定される全ての因子について検討が終了しているわけでなく、寄与度合いの定量評価、クラッド付着モデルの構築等、課題は山積である。
今回、7枠中、2枠において日本人受賞者が出たが、水化学部会の刺激と活力に繋がれば幸いである。
最後に、紹介の場を提供頂いた水化学委員会の部会長ならびに幹事の皆様に感謝する。

河村氏のポスター

アジア水化学シンポジウム2009

アジア水化学シンポジウム2009

ポスターセッション賞

アジア水化学シンポジウムの第1,2日目の口頭発表終了後にポスターセッションが開催され、国内外から32件の発表が行われた。今回のシンポジウムからセッションの活性化を図ることを目的とし、優秀な発表に対して表彰を行うこととした。ポスターセッション中は発表者と参加者との終始活発な議論が所々で見られ、国境を越えた技術交流がされ、発表会場は大いに賑わいをみせた。すべてのセッション終了後、特に優秀なポスターについては水化学部会長、東京大学の勝村庸介先生から賞状と記念品が授与された。
ポスターセッションの受賞者を以下に紹介する。

 

ポスターセッションの様子

 

ポスターセッション賞受賞者

Best Poster Award  梶谷 博康氏 中国電力

総合的に優れているポスターに授与

Innovation Award    塙 悟史氏 JAEA

独創性、新しい見方や考え方
及び実用性があるポスターに授与

Good Design Award  Mr.Anders Molander Studsvik:スウェーデン

個々の表記の美しく、
配色のよいポスターに授与

Good Presentation Award   松浦 正和氏 関西電力

説明と質疑の優れたポスターに授与

Future Dream Award  Mr.Rong Sheng Zhou 上海交通大学:中国

将来の可能性が広がっているポスターに授与

評価ポイント(各5点_計30点)
1)独創性(総合的)
 新しい見方、考え方
2)達成できた場合、実用性はあるか
3)ポスターの美しさ、配色の良さ
4)奇抜さ、面白み
5)将来の可能性
6)説明技術と質疑対応

ポスターセッション賞受賞時の様子

Best Poster Award:梶谷 博康氏(中国電力)

Innovation Award:塙 悟史氏(JAEA)

Good Design Award:Mr.Anders Molander(Studsvik:スウェーデン)

Good Presentation Award:松浦 正和氏(関西電力)

Future Dream Award:Mr.Rong Sheng Zhou(上海交通大学:中国)